
住まい再考
住宅の中で、簡単なようで中々厄介なのが老人室です。それは、社会的に老人問題が簡単でないことからも察せられるところです。
我々が住宅を設計する時、自分の今までの経験をもとにして考え、設計を進めてまいります。こと老人室に関しては、その経験がないだけに、老人への思いやりの足りない、部屋になりかねないのです。
そんなことのないためにも、老人は何を考え、何を求めているかを知った上でことを進めなくてはなりません。
○老人の中には家相や方位を気にする人がいます。これは、その人の心の問題でもありますから、ただ迷信として片付けられないところがあります。いずれにしても、老人室は南向きの日当たりのよい部屋で、夏も風通しのよいところであるべきです。
○二階は、階段の昇降が困難になりますし、家族が老人の面倒をみるのにも、又トイレや浴室を設けるのにも不便です。そこで老人室は一階が好ましいということになるのです。
○便所・浴室が近くにあることが便利です。理想的には老人専用のものを設けることです。老人にとって入浴は、生活のうえの大きな慰めになるはずですから慎重に考えるべきでしょう。便所・浴室では、冬、急に裸になる時に備え、パネルヒーター等の暖房設備がほしいものです。
○老人を隠居部屋に押しこめてしまうようなことをせず、家族といっしょに生活してもらう心遣いが必要です。核家族の弊害が問題になっている中で、老人・孫を含めた三世代の、バランスのとれた家族構成が、今後の家庭の理想になることも考えられます。
○閉鎖的な室内だけで暮していると、老化現象が進むと云われます。植木の世話をしたり、四季の移り変りを楽しむために、庭に面した開放的な部屋であることが好ましいことなのです。
○一般に老人は物持ちですから、押入れや箪笥が多く必要になることも考慮すべきです。














