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住まい再考

【012】 書斎

かつて、住まいの中の主婦のための場が、ないがしろにされていたその反省からでしょうか、昨今の日本の住宅における主婦の場は大変優遇されてきたと思います。これは、夫の影となって家を守り、生活を秩序づけている主婦の立場として当然でありましょう。
 
それに比較して、住まいにおける主人の立場が悪くなって、主人のいる場が軽視されていることをしばしば耳にします。
近年住宅が洋風化されて、椅子の生活に変り、昔の「茶の間」に厳然とあった主人の座が失われ、ダイニングルームのあいている椅子が主人の座である、と言う風に、主人の威厳は落ち目なのです。
そんな落ち目の主人にとって、「書斎」は、妻や子供によって占められた住まいの中で、夫の地位を守るための、唯一の場なのかもしれません。
主人の立場を示すように、書斎も、家族のための他の部屋を後回しにされておりましたが、こゝへきて、書斎をもつ住まいが大分多くなってまいりました。
書斎は、主人が一人になれる場です。そこは、精神的休養の場であり、又、知的再生産の場でもありましょう。
設計に当っては、心の安らぎや、精神の集中が妨げられる光・音には注意をはらわねばなりません。そこは静かで、プライバシーの確保が必要です。

書斎の形
○独立型 家族や来客に影響されずに、主人の専用の場として使用できます。こゝをそのまゝ仕事場にも使用できるのです。
○応接室型、応接室と兼用する書斎の形式です。こゝには机と共に、応接セットが必要になり、広さが要求されます。
○寝室型 寝室の一隅に設ける方法です。寝室は夫婦共通で使うことになるので、就寝中の妻の安眠を妨げない工夫が必要です。
○オープン型 居間の一角に机や椅子を設ける方法です。家族の多い場合は、主人の座も妨げられそうですが、家族の誰もが気楽に使える利点もありましょう。
○日本間型 座敷の書斎だからといって、本質的なものが変るわけではありません。むしろ年配者には捨てがたいものがあるようです。

降幡廣信