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住まい再考

【019】 数寄屋造

御殿のように格調を第一とする書院造に対して、数寄屋造は、自由な構成による柔らか味のある意匠を特徴としています。
ですから、そこに使われた木材等を見ても、その違いがわかるのです。
とりすました感じの桧がもっとも似合っている書院造の座敷には、不作法のできない様な堅苦しさと気品が、漂よいます。

それに反して、やわらか味のある杉や竹の似合う数寄屋造には、自由なところがあって、心を開いてくつろぐ雰囲気が漂よいます。
かような違いがあるごとく、その発生や好みにも大きな違いがあるのです。
数寄屋造に取り入れられている草庵風茶室は、書院にある特権趣味や華やかさに飽きたらない、自然的な飾りのない建築を愛する茶人によって創り出されました。
それは、地方の粗末な農家の丸太柱や、土壁、そしてその塗り残しによる下地窓、あるいはすすけた、茅葺きの屋根裏など、素朴な、自然と調和した深い味わいを、身近に取り入れようとしたところから始まっています。

このような発生の違いが、書院造と数寄屋造の内容を大きく変えていました。
四角四面の柱よりは、丸太や面皮の柱等、格調を高めるためのものは、なるべく省き、自然の中の素朴さを持ち込んで、自由な構成を取り入れたのです。
ですから、当時は正式の接客の場には用いられず、別荘などに好んで用いられました。数寄屋造の代表である桂離宮は、江戸時代流行した別荘建築のはしりなのです。

現代の和風住宅の好みは、書院造よりはむしろ、数奇屋造にあると申せましょう。
それは、民主主義の世で自由なものが好まれ、権力による格式を第一とした書院造の時代とは、相いれない時代でもあるからでしょう。
さらに、戸・障子ばかりで構成された開放的な書院造りより、壁を必要とした数奇屋造の方が、今日のプライバシーを保つという要求を満たしているからでしょう。

降幡廣信