
住まい再考

今年も残りいくばくもなくなって、一年間の諸々の反省や、来たる年に対する願いが心の中で交錯します。その中で、来年も健康でありたいことを願う昨今です。
人の健康に住まいが大きな影響をもたらすことは、想像に難くありません。日当たりが悪く、湿気の多いじめじめした敷地に生活していた若い家族が、日当たりの良い乾燥地に、開放的で日光や風の入る住まいを新築した年から、青白かった子供の顔色が次第に健康的になり、医療費が極端に少なくなった例をよく聞きます。太陽光線は病原菌に対する殺菌力を持ち、日光浴には病気の治療や健康維持に大きな効果があるからでしょう。
また、湿気の多いところでは、風邪や神経痛・ぜんそくなどにかかりやすいと昔から言われています。乾燥地は人にとって健康の地なのです。
湿気の多い敷地で健康的に住まうには、建物の下にビニールを敷きつめるとか、床をなるべく高くして床下や室内の風通しに充分配慮するなどして、湿気を遠ざける工夫が必要でしょう。
鉄筋コンクリート造りの場合、コンクリート中の水分が、当初の一年ほどの間、室内を湿気させるという問題を持っています。六帖間で一升ビン18本分の水分が、徐々に室内に蒸発していくと言われています。冬期に外壁の室内側に生じる結露も、健康を害する原因のひとつで配慮が必要です。
更に、室内の空気を汚さないことも、健康的に住まうことの大事な条件です。呼吸によって出る二酸化炭素や、ガス・灯油が不完全燃焼する時に出る一酸化炭素などが空気を汚染します。機密性の高い部屋は空間を広くするか、換気設備によって条件を整えるべきです。
このことから、居室の面積も健康に無関係ではありません。東京都教育医学研究会の調査結果によりますと、居室面積一人当たり一・五帖以下の狭小住宅と、一人当たり四帖以上の非狭小住宅の、四十才から六十才までの男子の心理機能の減退率が表のように示されています。
居室の狭すぎることが、空気の汚染、心理面を通じていかに健康に悪いかを、そして、人間には適切な広さの住まいが必要であることを、私たちに教えています。
降幡廣信














