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住まい再考

【092】 「住まいと安全」


先日の釧路沖地震で、二人の犠牲者と多くの怪我人がでました。テレビに映る家のゆれや屋内にものが放り出される様には恐ろしさがあり、はらはらさせられました。特に、犠牲になった方のうち一人はガス漏れによる中毒死、一人は落ちてきたシャンデリアの下敷きになったというのです。地震が、雷、火事、親父と共に怖いものの筆頭として語り継がれてきたのも、むべなるかなです。

住まいは、自然の脅威や泥棒等の外敵から身を守る、安全な場を目指してきた筈です。たとえ外部に危険が迫っても、屋内に逃げ込めば安全が確保される場所でなければなりません。それが非日常の時、家庭内の事故として問題を起こすということは、考えさせられることです。

家庭内の事故は、特別な時にのみ起こるものではありません。日常生活の中でも起き易いのです。むしろその危険の方が身近な問題かもしれません。部屋の中のちょっとしたものに躓いて転倒しても、人は怪我をするほどですから、安全な筈の住まいの内部にも、各所に危険が潜んでいるといえましょう。

そして、忘れてはならないのが、家庭内の事故の大半は人災だということです。住まう側の配慮いかんで事故は防げる筈です。家庭内に限らず階段には危険がひそんでいます。特に、スリッパを履いての階段の上り下りは、自ら事故を起こすために、歩きにくいものを足にまとっているかのようです。階段でなくてもスリッパを履いていたために起きた事故を意外に多く聞きます。別に躓いたわけでもないのに、滑ったり転んだりするのです。床の仕上げにも原因があるかも知れませんが、履き物がなかったならば避けられたケースが多いのです。

家庭内事故では少なくとも犠牲者の大半は老人と子供です。二階にある老人室は危険です。床面に凹凸や高低差を設けないことが必要です。
時によれば老人は、畳のへりにも躓くことがあるそうです。しかし、畳の表面のなめらかさと柔らかさは他に類がなく、歩きやすい上、事故の少ない床材です。

最近の便利な住宅で昔なかった家庭内事故がしばしば起こしていることを耳にします。便利さを持ち込んだり、見た目のかっこう良さを取り入れるより、住まいの中の安全を最優先させることが、住まいには是非必要だと教えています。
降幡廣信