
住まい再考

今年の夏は、雨に明け暮れるかのようでした。そして、地震や津波、雨による土砂崩れなど、日本の自然条件の厳しさを思い知らされる夏でもありました。
我が国は雨が多く、空模様が猫の目のように目まぐるしく変わる特徴をもっています。
それに雨の降り方も様々で、春雨、五月雨、夕立、秋雨、秋時雨というように、昔から季節に応じ場面に即した名前が付けられてきました。雨に親しみをもって暮らしてきた、日本人の気持ちを見る思いがします。日本の住まいの庇や屋根に、また、日本人の雨傘をさす姿に美しさがあるのも納得させられます。
こんな国の生活にとって、雨を遮り、水はけを良くする工夫は何よりも重要でした。
昔から、日本の住まいには雨に対する様々な配慮が隠されています。開口部の庇は、雨の日に窓や出入口の戸を開け、風通しを良くして、蒸し暑い夏を過ごし易くするための工夫でした。また、深い軒は、家の壁面を雨から守ると共に、雨の日でも軒下を物干場や通路として使えるようにするためでもありました。ただし、その軒はなるべく軽く造られねばなりません。土蔵のように見るからに重いものでは困ります。そのための工夫が凝らされているのが数奇屋造りです。
比較的急勾配な瓦屋根や茅葺屋根が多かったのも、雨を屋根から流すための工夫です。京都ではむくり屋根という、屋根面が棟から軒にむかってやや弓形に張った屋根が目立ちます。屋根の表情に優しさを添えながら、上部よりも下部を急勾配にして水はけを良くしようという工夫のひとつです。その他、塀や門柱など雨に当たるものにはことごとく屋根を付けたり、水はけのための配慮がなされています。
雨樋にも日本人の感覚が見られます。軒からの雨で壁を濡らさずに、一ヶ所に集めて排水する工夫です。軒下の犬走りにも雨に対する配慮が見られます。
敷地の選択の際にも排水や日当たりが良く、乾燥する土地が好まれてきました。我が国が雨の多い湿気易い土地柄であるため、そういった条件を満たす高台の傾斜地が好まれるのです。高台の敷地にあるのは眺望の良さだけではないのです。
降幡廣信














