
住まい再考

十二月は一年の締め括りの月です。通常しなかったことをする大事な月でもあります。その内容は、時の流れと共に大分変わってきました。
かつて十二月が家庭にとって特殊な月だったのは、支払いと大掃除、そして正月の準備をしなければならなかったからです。まず、日常しなかった支払いを済ます必要がありました。盆暮れの支払いが通用していた時代には、盆に払っていない分も暮れの支払いと一緒にまとめて支払ったのです。日常の支払いが当たり前になっている今日では考えられないのんびりとした方法だったのです。いかに家庭の経済の規模が小さかったかを知ることができます。
大掃除も十二月恒例の家庭の大事な行事でした。日本人ほど掃除好きな国民はないといわれるように、日本の家庭は常に清潔を旨としていました。しかし、一年の暮らしの中で家庭には汚れやごみが溜ります。だから日常より大掛かりな掃除が必要だったのです。
中でも特殊なのはすす払いです。台所を中心とした高いところのすすやほこりを払い落とすのです。いろりやかまどのある部屋にすすが溜まるのは、煙を屋根裏から外へ抜いたからです。煙突を使って直接煙を外へ導く西欧の方法とは根本的な違いがありました。
今日、日本人の生活方法がすっかり変わり、煙を出す機器は年を追うごとに少なくなってきました。台所の煮炊きにも煙の少ない器具が使われ、暖房用の石油ストーブも電気ストーブや床暖房などに変わりつつあります。
床暖房が優れているのは、煙で室内を汚さない上、暖房効率が良いからです。ストーブは空気を暖める暖房方法であるため暖かい空気が高いところに滞り、床に近いところにいる人からは遠ざかってしまうからです。一方床暖房は床面の暖かさに直接触れられることと、床面からの輻射熱で暖をとることができます。空気は冷えていても、太陽からの輻射熱で暖まるひなたぼっこの原理です。また、空気の汚れから人を守る暖房だということもできます。このように見える汚ればかりでなく、見えない空気の汚れにまで気が配られる時代になりました。さらに今日、太陽熱による暖房で大気を汚さない方法も行われています。地球の大掃除やすす払いをしなくて済むように、今から心掛ける必要があることを、すす払いを通じて教えられます。
降幡廣信














