
住まい再考

二階建てには、平屋建てにはない不思議な魅力があるようです。
設計をしながら思わされることは、二階のない家の子供たちは、二階に特別な憧れをもっているということです。子供たちが折にふれ他処の二階を見上げては、そこに大きな夢を描いていることが伺えます。だから、新しい家の二階に、自分たちの部屋が造られることになったときの喜びは、また特別なのでしょう。
二階の魅力の第一は、高いところから眺望できる喜びです。子供に限らず、人は誰しも少しでも高いところを求めるものです。高ければ高い程、それだけ遠くを見渡せるからでしょうか。
同時に二階は採光や通風に優れ、外部から見透かされることのない利点があります。それも快感に通じ二階の魅力を高めている原因です。
しかし、良いことばかりではありません。夏の二階は一階よりも暑くなります。上昇した一階の暖かい空気が二階の気温を上げるとか、一階の屋根の照り返しや、屋根で熱せられた空気が二階へ入り込むのが原因です。また、風通しの良いことが、転じて強風時の不安感をもたらします。それは建物に当たる風ばかりでなく、二階に接近しがちな樹木の枝が起こす騒がしさとも関係するのです。
平屋の間取りは、平面的な考えだけで済まされますが、二階建てでは左右、上下をどのようにつないで配置するかを考えねばなりません。その結果、平屋にはない階段が必要になり、生活にも複雑さが加わります。
一般に二階建ての方が費用がかさむことが多いようです。しかし、例えそうであったとしても、建物の面積を二倍にも使うことができるとしたら、土地の有効利用にもつながり、建築費の高さを補って余りあるものがあります。それによって出た敷地の余裕は、一階の採光や通風、そして精神的余裕にもつながります。
二階建てでは、一階にパブリックスペースを置き、二階に個室を設けるのが一般的です。しかし、都市の狭い敷地では、明るく気持ちの良い二階に居間などを置き、階下に個室を設ける例も見かける時代になりました。
二階に長く住んだ人からは、ゆったりとした平屋に住みたいという希望を聞くこともあります。二階には二階の、一階には一階の、それぞれの良さがあるのです。
降幡廣信














