
住まい再考

暑い日が続きます。昨今の冷夏のしわ寄せでしょうか。
日本の夏は、暑い上に蒸すという悪条件の重なるのが特徴です。
日本の家に庭があり、緑があるのはこの夏の暑さをしのぐ工夫でもあるのです。樹木の生い茂った広い庭とは限りません。建物に囲まれた坪庭もあれば、全面の道路に植木鉢を並べて庭代わりにしている家庭もあります。またマンションなどではベランダに緑を持ち込んで庭に見立ててもいるのです。日本人が例え一坪でも庭付きの家に住みたいと願うのも、暑い夏をしのぐための知恵なのかも知れません
暑い夏にとって、庭は大いに役立ちます。まず風が通ること。そしてそこにある樹木によって涼しい空気が作られること。また視覚的にも、涼しげな緑のお陰でどんなに心がなごむか知れません。
今日、庭は屋外のことを指します。しかし、漢字の庭の「广」は屋根を意味していることから、もとは屋根の下にあるスペースのことだったともいわれます。昔の農家の土間は「ニワ」と呼ばれ、町家には「通りニワ」と呼ばれる土間があります。庭は必ずしも屋外ではなかったのです。そんな「ニワ」との関わりの歴史が、今日の日本人に影響して庭を身近に感じさせ、部屋を必要とするのとまったく同じような必要性を感じているのかも知れません。今日の狭い庭に、特にそのことを感じます。
これらのことを通じ、夏の暑い日に、狭い庭から樹木が冷やした涼しい空気に触れたとき、日本の生活の歴史を肌で感じる思いがいたします。
狭い庭は、昔から町家などの建物に囲まれたところにありました。そして、そこに植えられている樹は、日常日当たりの良いところいなって見慣れている木とはちょっと違った葉っぱの木が植えられています。
木には陽樹・陰樹といって、太陽光線が良く当たる場で成育するものと、日陰を好んで生育するものとがあります。陽儒を日陰に植えると次第に元気を失って、しまいには枯れてしまうことにもなりかねません。
夏の生活を涼しくする庭の樹木は、活き活きと活動している必要があります。北側の日当たりの悪い庭の樹木も、葉が繁り元気が肝要です。樹木の選択を誤らないことです。
降幡廣信














