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住まい再考

【114】 「ガラス」(二)


室町時代という昔から障子戸によって明るい室内を可能にしていた日本では、大正時代になって板ガラスを障子戸の一部にはめ込むことから使い始めました。そして、それは全面ガラス戸にまで至ることになったのです。しかし今日のような一枚ガラスの戸ではなくて桟の入ったガラス戸で、その経過をみると日本人はガラス戸を障子の延長としてとらえてきたことがわかります。

一方、西洋の住まいでは厚い壁に囲まれ、小さい窓はあっても、板戸のため光を通さず暗い室内でしたから、もっと光の入る壁をどんなに願ってきたか想像に難くありません。そこで板ガラスは、「光を通す壁」として建築に取り入れられたのです。一八五一年、第一回ロンドン万国博覧会に登場した総ガラス張りのパビリオン・水晶宮はそのはしりといえましょう。

今日アメリカの住宅に大きな一枚ガラスが用いられているのを、我々日本人はガラス戸という風に受け取り勝ちですが、彼等は壁として用いていることはその一例です。

ガラスは室内の断熱という点では弱点をもっています。面積の割りに熱の出入が非常に大きいからです。昼間は太陽の熱を室内に通しますが、冬の夜は室内の暖かさを外へ逃がします。ガラス以外の外壁材は不透明であるために様々な断熱材を使えます。しかし、ガラスは透明であるため断熱材を使うことができず、ガラス自身が断熱の役を持たねばならないのです。断熱性能を上げるために最近ガラスそのものにいろいろの仕掛けがなされ、用いられています。

「断熱複層ガラス」 二枚または三枚以上のガラスの間に空気層を設けシールし、空気層で断熱効果を得ています。空気層は6ミリまたは12ミリで北海道やヨーロッパのように寒いところでは12ミリを使っています。
「低輻射ガラス」 熱を持った物に手を近づけるとあたたかく感じるのは、物から赤外線が輻射されていて、この赤外線が手に当たることによって熱く感じるのです。このような熱がガラス面から逃げるのを小さくするため、ガラスの表面に金属を薄くコーティングしたガラスです。

近年、板ガラスは建築材として飛躍的に進歩したため、外壁のみならず屋根にも大胆に使われる時代になりました。
降幡廣信