
住まい再考

寒くて暗い冬を耐えて、暖い明るい春にたどりつきました。
そんな気分を満喫させてくれるのが、五月の連休です。そこには、祝日と休日に加え、この季節ならではの伝統行事「端午の節句」があります。そのことが、どんなにこの連休を象徴的にしてくれているか知れません。
この連休に多くの人々が、故郷に引き寄せられて帰省するのも、ただ単に休日が続くだけでなく、そこにある伝統行事のしみじみとした感じや、ゆかしくてなんとなく心がなごむ、そんな故郷なればこそ触れることができる何かにひかれるからではないでしょうか。
五月の薫風に乗って泳ぐ鯉のぼりに、室内に飾られた五月人形に、又、しょうぶ湯につかって旅の疲れを癒した爽快感に、柏餅の季節の味に、なつかしい故郷の実感にひたることができるからです。
○五月五日の端午の節句は、一月一日、三月三日、九月九日と共に五大節会して、古くから宮中で催しがなされてきました。端午の節句を男児の節句とされるようになったのは、馬に乗って弓を射る流鏑馬の勇ましい行事が行われたからだといいます。
今日はおもてに幟を立て、室内に五月人形を飾ります。丈夫な男の児に育つようにとの願いからです。
○幟 武者絵の幟と鯉のぼりが立てられます。鯉のぼりは、高々と五月のさわやかな空気の中を、真鯉、緋鯉、子鯉が吹き流しと共に風に泳ぎます。その様は、日本の自然をさらに美しくしてくれます。
○しょうぶ湯 しょうぶの香と薬効が身体に効くと云われています。よもぎを加えることもあります。四・五本束にしたしょうぶは、湯の中で芳香を発し、心身に爽快感を与えてくれます。
○軒しょうぶ しょうぶ四・五本とよもぎ二・三束を一束にして、屋根に挿したり投げ上げ、しょうぶとよもぎの薬効で邪気や疫病を祓うというのです。
○柏餅 端午の節句の柏餅は、室町時代の末頃からの習慣です。今日も、柏餅の季節感と伝統の味は貴重です。
現在、日本の生活が近代化する中で、伝統の行事が失われてきています。しかし、残さなくてはならない、日本人にとって大切なものがそこにあることを、端午の節句が教えてくれました。
降幡廣信














