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住まい再考

【145】 「冷房」


四季のはっきりした日本では季節の移り変りに合わせて、春・夏・秋・冬と着る物を着替え、気候に合わせた室内にして生活を楽しんできました。

早いものです、ついこのあいだ冬の暖房から解放されたと思ったのに、もう冷房の季節です。このように季節が変る度に機械器具がクローズアップされる時代になりました。

夏の主役はクーラーです。日本の夏は高温多湿で、大変厄介な暑さを特徴とします。湿気が、温度以上に暑く感じさせているからです。熱帯地方で暮らした人でも、「日本の暑さには閉口する」と愚痴をこぼす程なのです。

冷房の無かった時代には、日本人は、日本の気候の特性を知ってさまざまな対応をして生活してきました。屋根の軒を深く、部屋の天井は高く、開放的にして風通しを良くし、庭には樹木を多く、池や水の流れまで用意していました。当時は冷房装置がなくても涼しく過ごせる仕掛けができていたのです。

今日の住宅は、昔活かした生活の知恵をことごとく捨ててしまいました。屋根の軒を浅くして、部屋は狭く壁で仕切り、閉鎖的で天井は低く、床面積を少なくして、その中にテレビ、ステレオ、電気ガマ、冷蔵庫、照明というように放熱機械を所狭しと詰め込んでいるのです。その上、気温を下げたり、日影をつくる樹木は少なくなって家が建て込んでいるのですから。

かつて、贅沢で不必要に思われていたクーラーには便利さの追求と相まってどうしても頼らざるを得ない時代になってしまいました。

しかし、今日必要なクーラーでもそれに頼り切ることには疑問が残ります。クーラーで健康を害した話は良く耳にしますし、どなたもそんな体験をお持ちでしょう。その上、エネルギーの消費量は暖房の数倍で、その電力を供給するためには、発電に不安の残る原子力発電所に頼らざるを得ないということにもなるのです。

昔の生活の知恵を生かした自然の冷房とクーラーを併用する必要があるようです。
降幡廣信