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住まい再考

【150】 「火災と建材」


風に入ると空気が乾燥し、季節風が吹きつけ、その上、暖をとる火が必要です。

日本の住まいは、燃え易い木造でしたから何にも増して火災を恐れてきました。火の元には最新の注意がはらわれ、どこの家でも火を扱うところには必ず「火の用心」の紙札が貼られていた程です。主人の防火に対する意識は極めて高かったのです。

最近の住宅は、不燃、あるいは難燃の材料を使用した建築も多い上、火元の警報装置等が完備しているおかげで、かえって、火に不用心になっているように思えてなりません。たとえコンクリート造りであったとしても、家の中に燃えるものがぎっしり詰まっている以上、耐火建築といっても安心してはいられません。しかも、火災の際ガスを発生する新建材が使用されていることでしょうから。

ちなみに火災の原因の第一位は「タバコの不始末」だそうです。かつて、コンセントからのたこ足配線が出火の原因になったことが報道されました。

今日の住宅は、昔の住宅と違って伝染やガス管が張り巡らされ、発火源は、家のいたるところに散在しているということにもなるのです。

今日の住宅で盛んに使われている新建材は、ローコスト、耐久性、耐火性には優れていますが、時と場合によっては危険極まりないものに変って人に襲いかかるのです。たばこの火が700度だというのに、新建材のアクリル系のものにしても、塩化ビニル系のものにしても、摂氏200度前後で分解し猛毒を発生するというのです。

昔の火災で恐ろしいのは燃える火の熱でした。熱をかいくぐれば、逃げることもできたのです。しかし、今日の火災が昔より恐ろしいのは猛毒のガスが襲いかかるからです。新建材から出るガスには、一呼吸で神経をまひさせ意識を失わせてしまうものもあるといいます。小規模の火災でも油断はできません。

このような、猛毒ガスを発生するような材料は、人の住まいの材料としてはどうかと思われます。しかも、材料の長所だけが強調され、欠点は伝えられていないと思えてなりません。それを知らされることによって初めて、適材箇所に使うこともできる筈です。今のままでは、新建材の住宅に住む人も、決して快適な気分で生活ができないと思います。
降幡廣信