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住まい再考

【152】 「壁のいろいろ」


古来、日本の住まいは木造で、柱をもって屋根を支え、柱と柱の間に壁が設けられました。そのために、その壁は上の重量を受けていません。

壁について広辞苑には、「家の四方を囲い、または室内の隔てとするもの」とありますので、日本の住まいに使われている壁は、固定式と可動式の二種類の壁ということになります。固定式の壁は厚さ6cm~10cm程の薄い土や板の壁です。一方、可動式の壁は、板戸や硝子戸、そして襖や障子などの建具類です。建具は壁の役目を果し、時として出入りのため、又、暑い夏の風通しや、二間続きの広間のために動かされたり、取りはずされ、その用に供してきました。建具による一枚の板、一枚の紙に壁の役目を負わせてきたのが日本の住まいの大きな特徴とも申せます。さらに時代をさかのぼって、平安時代の寝殿造りに盛んに用いられていた、屏風・衝立、さらに布製の貴重とか、幕に近い壁代といったものまでが、語源的な意味からすれば、日本の壁だったのかも知れません。

こういう薄いものに囲まれ、室内の隔てとしながら生活をしてきたのですから、そこでは音や視線に対する特別な気配りが必要だったことが伺えます。

一方西洋の住まいは、煉瓦や石を積み上げて壁を造り、屋根や二階を支えています。たとえ木造であっても、木材を横に積み上げて壁を造るとか、柱などを軸にして厚い壁を造っているのです。西洋の壁は大変厚く、煉瓦や石積みの場合には50cm~60cmの厚さが一般的で、大きな建物では100cm以上、巨大なものの壁は10メートルにもなっているそうです。

柱で屋根や二階を支えている日本の家では、壁を取りはずしても一向に差しつかえないのですが、西洋の壁の建築では、そんなことをすると、二階や屋根が崩落しかねません。

彼等の壁は堅いものですから音が反響します。それを防ぐために、タピストリー(壁かけの織物)を掛け、反響と壁面の単調さとの両面を解消し、さらに壁を装飾的にしているのです。

その点から西洋の壁は家の主役であり、一方日本では柱が主役で壁は脇役といえましょう。
降幡廣信