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住まい再考

【154】 「大雪に思う」(二)


ここへ来て春のような暖かい日があるかと思えば、冬に逆もどりの寒い日もありました。しかし彼岸も過ぎて、本格的な春は目の前です。

振り返れば、今年の松本平は百年振りの大雪に見舞われました。雪の少ない地方の大雪でしたから、雪かきの手配から始まって、雪の捨て場にも苦労させられました。

昔の雪では、板を棒に簡単に打ち付けて作られた雪かきと重いシャベルだけでした。それに比べて今日の雪かきは、軽いプラスチック製です。雪を多くとらえて雪離れもよく大変効率的な道具です。しかも色の種類も多いために、多勢の人達の着ているウエアーの色とあいまって、雪かきの風景は大変にカラフルで、みのを着てかいた昔との違いを感じました。

昔と比較して、融雪の方法も、今昔の感があります。舗装の道路に雪を投げ出してとかす方法です。日光で暖まった舗装道路に投げ出される雪は、またたく間にとけて流れてしまいます。道路は濡れる程度で何の変化もありません。舗装がなされていなかった昔の道では考えられなかったことです。濡らせば土の道は歩きにくくなるからです。

今年の大雪は家の屋根に様々の被害をもたらしました。湿気が多く、重くてねばり気があったからです。どっしりと重い布団を屋根に掛けたかのようでした。そんな雪が屋根をずり下ったものですから、瓦屋根の棟や軒先を多く傷めました。

重い雪の多い地方では、昔からその対策がなされていました。「雪割り」という物です。屋根の棟に一枚の板を立てて、雪を左右に分けて移動させ、雪がとけ易くするのです。最近は、板の代わりに強化ガラスを用い、片方に日陰をつくらない工夫がなされています。又、鋭い角度の棟を付けた鉄板葺屋根を見かけます。これも雪割りです。方流れの屋根も見掛けます。陰を造らず平均に雪をとかす工夫でしょう。

昔から雪の多い地方では、家の脇に池を設けて雪をとかして流していました。今日は町全体の雪を川で流して一ヶ所に集め、機械で処理して大きな川に流しているところを見掛けます。雪の処理には意外とお金がかかっているのです。

大雪も消えてしまって、あの労力の跡形もありません。しかし、豪雪地帯の人々の苦労の一端を知り、思いやりの心を持つことができたのは大きな収穫でした。
降幡廣信