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住まい再考

【156】 「合板」


最近、「合板を使わない家に住みたいと思いますが」という奥さんにたびたびお目にかかります。原因は、多くの合板に使われている接着剤に、有害な化学物質が含まれている、という話を耳にするからです。

合板は、ベニヤといわれる薄い単板を、繊維方向をたがいちがいに直交させて、三枚、五枚、七枚、九枚という風に奇数枚はり合わせたものです。そのことによって、普通の板のもっている乾湿による伸縮、割れ、狂いという欠点が取り除かれて、より安定した素材となっています。そのためには、接着剤が必要欠くべからざるものなのです。しかし、新築の住宅の部屋に入った時、目がチカチカしたり、ホルマリンのにおいがするのは、合板の接着剤の中の有害なホルムアルデヒドが室内にたまっているからです。

日本では関東大震災以前から合板はありまして、当時はベニヤ板と呼んでいました。昭和に入ってから、合板は建築に多く用いられるようになりました。しかし、当時の接着剤はカゼインでしたので、水に濡れるとはがれてしまったそうです。たやすく変質したのです。

戦争中、飛行場の格納庫が倒壊し、軍機が下敷になって何機も押しつぶされ、大問題になった話を聞いたことがあります。その原因は木の合成梁が飛行場に積んでおかれた間に、接着剤のカゼインが蒸れて効力を失ってしまったことにありました。ただし当時の、このような接着剤は無害だったことでしょう。

西洋における合板の歴史は、紀元前千五百年代、古代エジプトにさかのぼるといわれます。

現在最も多く使われているロータリーレースという単板造りの方法は一八三〇~四〇年代に考案されました。この方法は原木を回転させながら、外側から剥いでいく方法で、一本の木材の外側から芯までの巾広い板がとれるわけです。

合板の主材料はラワンを代表とする南洋材でした。しかし原産地の事情などで針葉樹への切り替えが進められています。

表面に杉・松・檜・欅などの上質の原板を貼りつけたものを化粧合板といいますが、床や壁には美観や耐久のため、原板に合成樹脂を加えたオーバーレイ合板が使われています。これらも合板の単板はラワン材です。プリン等普通の合板の表面に塗装を施したものを塗装合板といいます。
降幡廣信