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住まい再考

【159】 「住まいの寿命(二)」


今、住宅の寿命が二~三〇年といわれています。今日の人はあまりにも物や家をおろそかに扱っているように思えてなりません。

そこで、丈夫で長持ちさせる努力を家づくりに、そして生活にしてきた歴史を振り返ってみることにいたします。

まず基礎についてみてみます。古い時代には柱の足元を直に地中に埋め立てる「掘立て」という方法が用いられていました。しかし、その後「石場立て」という方法に変わったのです。堀立ては地中の水分や湿気によって地中に埋まっている部分が腐食しやすく、家の寿命を短くしたからです。石場立ては地面に据えた礎石の上に立てる方法です。この方法は、石があるために柱が地面からの水や湿気に直接影響されにくく、ここに長持ちへの工夫のあとが見られます。

さらに時代が下がると、石の上に土台が敷かれ土台に柱が立てられます。この方法は柱が土台の上に固定されているため、地震で動かされたり、腐食することからさらに守られることになるのです。やがて石の代わりにコンクリートが用いられ、今日は基礎全体が連続している「布基礎」が造られる時代になりました。さらに、布基礎に鉄筋を用いて、より強固にする時代になりました。

昔の石場立ての建物でも、百年以上の寿命を持っていたのに、今日の頑丈に造られた基礎の住まいの寿命が二~三〇年では、つじつまが合わない思いがいたします。

日本人は、長い歴史の中で得た生活の知恵を活かして、住んでいる家を長持ちさせてきました。その第一は、家の清掃と、風通しです。家の中を清潔に保つことが、湿気の多い日本の気候の中では最も快適で、最も健康的な生活です。これは同時に家や、家の中の物にも良い効果をもたらしていました。

埃をためておくと、埃が湿気を吸い、乾燥を妨げ長い年月の間に物や家が早くいたむ要因になるのです。特に外部の柱や土台の埃は濡れた部分の乾燥を妨げ、腐食を早めます。

例えば、コケの生えた屋根は水はけを悪くして雨もりを起こすのを早めます。雨樋に詰まった葉っぱや埃は雨樋の腐食を早め、雨樋周辺の柱や壁を傷めることになるのです。

奈良の正倉院では中国の現地にもない古い時代の宝物がよい状態で保存されています。それは、床高で内部が乾燥しやすく、校倉造りによる風通しが原因しているといわれています。

日本人は、清掃・風通しという日常的なことによって物や家の寿命を延ばしてきたのです。
降幡廣信