
住まい再考

「座」とは、場所とか席のことです。
「座敷」は、昔、板の間に敷物を敷いてすわったことからきています。射まあ畳敷きの部屋、又は客間を呼びます。
日本の住宅は、昔から客や家族のすわる座が定まっていました。客間では、床の間の前を上座とし、入口に近い所を下座としました。さらに、左より右を上座とし、場面に合わせて座の順位を決めてきたのです。
日常生活の中心の場であった昔の囲炉裏の周辺にも「座」が定まっていました。最も上座は主人の座で、土間に面した上り口から最も遠い図①の位置です。ここは別格であるために、藁、又はござが横に一枚敷かれ、「横座」とも呼ばれました。
第二の座は図②の奥の勝手に近いところで、主婦を中心としました。女性の場所で「女座」と呼ばれました。第三位の座は図③女座の向いで来客の場所で「客座」と呼ばれ、客のない時は主人以外の男がすわり「男座」とも呼ばれていました。末席は横座と向かい合った土間際、図①です。ここは、使用人や出入りの者の座で「下座」とも呼ばれていました。
茶の間においても、囲炉裏の伝統を引き継いで座が決められていたのです。
このように、客間においては来客を中心とし、居間においては、主人を中心にして座と順位が定められていました。この中で、家庭の秩序が保たれていたのです。
このような中で家長の権威を維持してきたお父さんの地位が、今日、大変低下していました。
その原因は、家族平等の思想や、生活様式の変化によって、日本の住宅の中にあった主人の座の影が薄くなったり、消えてしまったことにもあるようです。
弱気なお父さんが勤めを終えて、家族や子供の友達によって楽しい夕食が進められている時に帰ったりすると、お父さんの席がなくて、どこに掛ければよいか躊躇してしまう、ということがいわれています。その時、もう少し遅く帰ってきてくれればよいのに、という子供達の思いが、さらにお父さんを孤独にするというのです。
主人の「座」の復活が期待される昨今です。
降幡廣信














