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住まい再考

【168】 「眠りと寝室」


「春眠暁を覚えず」。大変眠り心地の良い季節になりました。

我々は夜になると眠り、朝になると起きて活動するという毎日をくり返しています。その中で、熟睡してさわやかな目ざめの日があるかと思えば、逆な日もあります。その原因には、その時々の心や身体の状態、まわりの気温や明るさや音・臭い、さらに安心感などが関係することが考えられます。

原始時代に寝起きしたところは、鳥や獣の巣と同じように、穴ぐらだったといわれます。そこで行われた睡眠の気分は、今日の完備した寝室の睡眠と、どれ程の質の違いがあるか知るよしもありません。寝室の質の違いがそのまま睡眠の質の違いに出るのでしょうか、興味のあるところです。

最近の寝室には、住まいの多様化とも関係があるのでしょう、そこだけに特殊な好みを取り入れるものもみつけられます。当初は新鮮さかもしれませんが、長く続ける日常生活にはいかがなものかと思います。

寝室は、住宅の中では一番プライバシーを必要とする場所です。他人におびやかされない、安心感を持てる場所でなければなりません。外部に接するところや玄関の近く、直に入ってこられるところは不向きです。寝室には、そこに必要な静けさを保つ必要もあるからです。また、寝室は、夜寝るだけだから日当たりは要らないだろうという考えになりがちですが左にあらず。日当たり、風通しが必要です。大人は一晩寝るとコップ一杯の水が布団に吸い込まれるといいます。日当たり、風通しは部屋や寝具の乾燥を良くすることになるからです。寝ている間の換気のための風通しも重要です。六畳間で二人が寝ている時、常に新鮮な空気を得るのには二時間に三回の割合いで入れ替えの必要があるといわれています。機密性の高い部屋は特に「要注意」です。

寝室は光に対する配慮が必要です。夏の早朝の光に対する遮光、寝ながら光源が直接目に入らない工夫などです。また、隣室や、外部の音に対する対策も大切なことです。さらに水廻りの完備や、収納の場のことも考えられます。

これらは、快い眠りが得られるための配慮です。しかし、そうしても、誰でもいつでも良い眠りを得るとは限らないのが、眠りの不思議です。
降幡廣信