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住まい再考

【188】 20世紀から21世紀へ


今、20世紀から21世紀へ移り変わろうとしています。振り返ってみれば、20世紀はかつてなかった程激しい変化の時代だったと思います。二度にわたる世界戦争や朝鮮・ベトナム等の地域戦争。さらに革命による破壊は世界に貧困と飢餓を生み出しました。しかし、一方では今まで見なかった程の繁栄をもたらしたのが20世紀ではないでしょうか。

住宅にも、目を見張る変化がありました。20世紀初頭の一般住宅は、日本の風土から生まれた純粋の和風住宅で床座式の生活でした。それが、戦後急速な洋風化の中で大きく変わりました。開放的だったものが外界と遮断され、人工的にコントロールできる室内気候、家電製品、情報機器と想像のできなかった変化です。

当初の日本の住宅には個室はありません。農家も町屋も、住居は同時に職場でもありました。少し大きな家には、そこで働く男衆や女衆も住み込み、さらに女中や書生のいるところもありました。住宅は単純に家族だけのものではなく、親族や知人が気軽に宿泊のできる空間であり、同時に結婚や葬儀の式典、そして接客を主要な用途として構成されていたのです。

今日の住宅は、それまでの日本住宅の持っていた古い体質の否定から始まり、機能を第一に考える住宅に変わりました。住宅の中心にあった付き合いの場は追放されて、それに代わって個室が登場したのです。居間・食堂・台所を中心において幾室かの個室を設けるという間取りのスタイルに到達しました。

建築材料の変化にも著しいものがあります。かつては木材等の自然材料にのみ頼って造られた住宅が、工場製産品を多く用いる時代になりました。また、高気密・高断熱が計られた室内に、建材からの化学物質による汚染が問題になりました。さらに汚染は室内ばかりでなく、掛けがえのない地球環境にまで及びました。

21世紀は「土と木」がテーマの時代になると云われます。地球環境の汚染にCO2放出のエネルギー消費が原因していることから、エネルギーを消費しないで造られる土・木に期待が集まったのも当然でしょう。しかも地球環境と共生の住宅は、日本のかつての建築が理想である、と云われながら20世紀の幕が下りようとしています。
降幡廣信