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住まい再考

【190】 循環型社会


一時より住宅着工数が減少したといっても、年間に、約一二〇万戸もの住宅が新築されているとうかがいます。しかも、くり返される短サイクル消費は、スクラップ・アンド・ビルドを加速させています。その結果、産廃物が膨れあがってごみの捨て場にも困っているのが現状です。地球環境の面から、塵を出さないこととエネルギー消費の現象を両立させることが、今必要に迫られているのです。そのための方法として望まれているのは循環型社会だといわれます。現在、地上にある資源を循環させて使用し、地下資源を掘り出すことを避けるというのです。かつて資源小国であった日本でしたが、経済力によって世界の各地から資源を集め、そのストックは世界有数だといいます。鉄もアルミも再生可能な地上資源が、家庭産廃物を含め今の日本にはたくさん蓄積されているのです。

地上資源となっているアルミを再生するエネルギーは、地下資源から精製するエネルギーと比較すると一九〇分の一で済むといいますから、再生は有効です。

木は、循環型社会の模範的資源です。太陽エネルギーによって生育した木が用材としての務めを終えて土に帰っても、新たに生育する木によって全て吸収されます。そして、五十年かけて育った木は、用材として五〇年以上保つ家に、百年かけて育った木は百年保つ家に使われたとすれば、木は再生しながら資源としていつまでも循環し続けることができるのです。さらに古材として長く使い続けられることができたらなおさらです。

木材資源に関しては、過去に貴重な教訓があります。今から四千年も前の紀元前二〇〇〇年に高度な文明が栄えていた、ナイル川、黄河、ティグリスとユーフラテス川、あるいはインダス川など大きな川のほとりには、産業が興り都市が発達していました。しかし今はいずれも砂漠地帯や、樹木のない平原です。この地域の人達は文明の発達と共に森林を生活のために食いつぶしてしまったからだといわれています。

地球で、我々の子孫が住み続けるためには、循環型社会によって、地球と共生していく必要があります。
降幡廣信