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住まい再考

【191】 季節と好み


冬の寒さから解放されて、暖かい春に向っています。暗い灰色の季節から、明るい色彩豊かな季節です。そうこうしているうちに、また暑い夏がやってまいります。

寒い季節には暖かいものを求め、暑い季節には涼しいものや冷たいものを求めます。

人の心は、そのときの環境の変化にしたがって求めるものを変えるのです。

寒い冬は、暖かさもとめるあまりに、暑い夏があることをつい忘れて、目先の寒さにのみ対処する傾向があります。壁が多く、寒い風の入る窓を少なくした、暖かさ重視の住宅になるのです。一方、暑い夏には、寒い冬もあることをつい忘れて、夏向きの住宅を求めることになりやすいのです。壁が少なくて風通しの良い開放的な涼し気な住宅です。

又、色彩についても冬の寒い季節と暑い夏とでは求めるものが違います。寒い季節には、壁紙やカーテン等に、暖かく感じさせる暖色系の赤・橙・黄などを選ぶ傾向があります。暖色系は太陽や火を案じさせるものだからです。

一方、夏の暑いさ中に求める色は、寒色系と呼ばれる青・緑・黄緑の系統の色になります。それらは、水・空・氷などを暗示します。暑さの中では涼しさや、さわやかさを求めるからです。冬、寒さに震えながら決めた室内が、暖色系でまとめられたために、夏、暑苦しそうな部屋になってしまうことがあります。逆に夏、汗を拭きながら決めた色は、寒色系に傾いて冬には寒々しく感じる部屋になる傾向があるのです。

前段の壁や窓の面でも同じことが云えます。寒い冬には暖房効果や北風のことが心配になる余りに、夏必要な風通しのことをつい忘れてしまって、換気の悪い、暑い部屋になる傾向があるのです。

昨今、冷房や暖房の機械設備によって、室内環境の調整が万能な時代になったために、自然との付き合いをおろそかにする傾向があります。しかし、自然の中で自然と共に生きている人間にとって、自然に逆らった生活は決して快適とは申せません。長い間には、何らかの影響が心や身体にあるように思えてなりません。特に今、地球環境との共生が人類の課題です。自然や、人間の心理に添った住まいで、恵まれている日本の四季を満喫したいものです。春こそ、その四季の移り変わりを強く感じられる最高の季節です。
降幡廣信