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住まい再考

【192】 換気


寒い冬の生活から抜け出て、ほっとしています。冬のための、寒さの備えがなされている住まいでも、待ち遠しい春です。ましてや、冬の備えのない寒い住宅ではなおさらでしょう。

しかし、リフォームや新築によって暖かい住まいに変わったところでも、深刻に春を待ち望んでいる人々がおります。「暖かい住宅にはなったが、生活をしてみると、湿けたり、かびが生えたり、又、何となく気分が優れないんです」というお住まいに住まわれている方々です。

原因は色々ありましょうが、換気に原因していることが多いようです。換気は人の生活の場にとって必要欠くべからざるものです。成人は一時間に平均一七リットルの二酸化炭素を排出しているといいます。同時に、人の生活の場には湿気がたまります。健康のために換気は重要ですが、乾燥にとっても換気は必要なのです。我々日本人は昔から優れた方法をもって室内の換気をしてきました。高温多湿の夏への対応をしながら、冬に対しても、日本的な備えをなしていたのです。

日本の建具の障子・襖・板戸・硝子戸等すべて引違いです。暑い夏は引違いの戸を開け放って部屋へ風を通し暑さをしのいできました。一方、寒い冬は戸を締め切って暖をとり、その中で引違い戸のわずかの隙間を用いて換気をしているのです。

引違い戸は、開け閉めする際に擦れ合わないように、三ミリ程の隙間をもっているのです。そのような隙間を一ヶ所にまとめて換気のために容易したとすると、大きな開口部になって、開けると強い風が一ヶ所から吹き込むことになります。これでは室温の調節も難しくなります。しかし、引違い戸の隙間は広範囲にわたっているため、部屋の隅々まで、おだやかな自然換気がなされるのです。素晴らしい智恵です。

さらに、二間続きの間仕切りの丈夫に設けられる「欄間」も、座敷と縁側の間に設けられる「明り欄間」等日本の住まいでは、意匠を兼ねた喚起の場が各所に設けられています。目立たない上に、おだやかな自然換気が行われるところを用意されています。

今日は、自然換気がきいて、いつも新しい空気が入れ替わる和式住宅と、窓を開けたり換気扇によらなければ新しい空気が入らない洋風住宅の違いを知った上で対応し、生活する必要がありましょう。
降幡廣信