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住まい再考

【196】 色と心


先月のこの欄では「夏と白」について書きました。白は、放射熱を反射し熱を吸収しない。その上、色から感じる心理的重さは、色の中で白が最も軽く、黒の1/2でしかない。軽やかなものが好まれる夏は、白が好まれ、似合うという内容でした。逆に黒は熱を吸収し、さらに黒の持った心理的重さが、夏には似合わない。ということになっていたのです。

ところが、今年の夏は黒い日傘が流行したというのです。黒が好まれないはずの夏、流行したのですから、そこにはそれなりの工夫があった筈です。その狙いは生地を薄くし、透かして重い黒を軽やかにして涼し気を強調していたのです。暑さばかりでなく、流行の面からも特殊な夏でした。

色は、明るい色は軽く、暗い色ほど重く感じます。又、色の違い。色のあざやかさ、によっても変わります。

色の心理的な重さは、白を100とすると、黄113・黄緑132・水色152・灰色155・赤176・紫184・黒187となります。「色の秘密」野村純一著、発行ネスコ。

オレンジ色や赤や黄は色欲をわかせ、逆に黄緑や紫は減退させるといわれています。このように色は人の心理と共に生理にまで大きく影響を与えます。

夏は食欲の減退がもたらされます。夏に合わせた涼し気な色ばかりに囲まれていることも、食欲に関係しているかもしれません。赤は活動的、青は静じゃく、緑は新鮮というように、色から受けるイメージを上手に調節しながら室内に用いることが行われる時代です。

子供の部屋には明るい色彩。老人室は明るさの中に落ちつきを。台所は清潔さが感じ取れるようにと、一般論として行われています。しかしそこには人それぞれの好みや工夫が必要です。

旧来の日本の住まいは、自然材料、木・草・土・和紙等によって構成され、ベージュ系でまとめられていました。さらに木材の茶系の色付けをして、落ちつきの中にめり張りを持たせる工夫もなされてきました。落ちつきが保たれていた日本の住まいは、ストレスの解消には効果的でした。

最近、キレるという心の現象を耳にします。昔は聞かなかったことです。氾濫している色からくる生活環境の変化も影響しているように思える暑い夏の終りの一時です。
降幡廣信