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住まい再考

【198】 色と時間


秋になって、周囲の風景には赤や黄色の暖色が多くなりました。しばらくの間、人目を引きつけ楽しませてくれます。

若し、青い空、青い海、青い山そして緑の樹々というように、周囲の色が年中青系のみだったとしたらどうでしょう。例え冬枯れの木の茶色や雪の白があったとしても片手落ちではないでしょうか。一時の秋の紅葉は地球にとって必要欠くべからざるものだと思います。

しかし、その紅葉の期間はあっという間の短期間です。私達は秋の紅葉を眺めながら間もなく終ってしまう時期の短さを感じます。春の花にも、紅葉と共通したところがあります。咲いて散る期間の短さです。一方、空や海や山や樹木の緑や青には、時間を忘れさせ、いつまでも続く安らぎがあります。

われわれ人間は自然界を通し、赤などの暖色からは時間の短さを感じ、青などの寒色からはいつまでも続く時間の長さを感じるそうです。

そのような時間的感覚を持っている赤と青を同一時間見たときは、逆に、赤は長い時間見たように感じ、青は短時間で、いつもとは違ってもの足りなさを感じます。

たとえば、真っ赤なじゅうたん、橙色のソファを備えたような部屋ですと、実際いた時間より長く感じられます。もし、待たされたとしたら、倍も待たされた印象を与えます。又、好きな人と一緒にいた時には長い時間楽しかった満足感を持つことができるのです。シンボルカラーとなる結婚式場の真紅の敷物は、時間を長く感じさせますから、短時間の式であっても充実した印象を与えます。

一方、寒色系は実際の時間を短く感じさせますから、一時間位だと思っていたのに、もう二時間仕事をしたのかといったぐあいです。工場などの色彩には適しています。一日八時間の仕事が、半分くらいの時間で済んでしまったという印象になるのです。日常のきまりきった仕事とか、単調な作業が継続されるところでは時間の経過が早く感じられる青・緑などの寒色系が最適です。

このように、人間の感覚は、自然環境の影響を受けていると考えてもよろしいのではないでしょうか。秋がそんな風に思わせてくれます。

降幡廣信