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上越の古民家が信州安曇野で蘇る

安曇野市にお住まいのTさん(60歳代)は昨年、念願であった古民家移築再生工事を完成されました。
移築したのは新潟県上越市にあった築120年の古民家。
ケヤキなどの太い柱や幅60cmの差鴨居などからなる力強い民家でした。
完成したTさんのご自宅でお話をお聞きしました。



※ 掲載写真は取材時および施工時に撮影したものです。
古民家の材料を使い、職人の手によって再生した民家は本物志向で作られています。

<主な仕上>
外壁:漆喰塗・杉板張
内壁:漆喰塗、ジュラク塗・杉板
床:栗無垢フローリング、松無垢板、畳
天井:漆喰塗、杉板張

■古民家で家を建てようと思われた理由は何ですか。

元々、両親の実家は山形県米沢市と南陽市にありまして、茅葺の昔ながらの民家でした。
子供のころから祖父の家によく入り浸っていました。そのころの思い出が心の根底にありましてね、40歳代になった頃から古い民家に魅力を感じ始めていました。
そして決定的だったのは岐阜県の福地温泉にある「長座」という温泉旅館に泊まったことでした。そこは古民家を移築した旅館でして、太い梁や柱の迫力に圧倒されました。
この時、いつか古民家で家を建てたいと強く思い始めました。それが40代の後半でした。

■Tさんにとって古民家の魅力とは何ですか。

私は数寄屋のような上品なものより素朴で力強いものに魅かれますね。古民家は素朴で安心感がありますよね。とても落ち着きますし、なつかしさがあります。これも子供頃に過ごした祖父の家の思い出がベースになっていると思います。
この間、中国人の知人がこの家に来たんですが、中国にはこんな建物はないといって、感心していました。
日本人なら誰でも古い民家には魅力を感じると思いますよ。

■移築するに際してこだわった点はありますか。

はじめは父の実家のある米沢で古民家を探していました。米沢は江戸時代には上杉藩でして藩主の上杉鷹山は江戸時代に米沢藩の藩政を「質素と倹約」で建て直しに成功した名政治家を輩出した地です。そんな影響もあって古い民家はどちらかと言えば杉材などで造られたものが多かったんです。
そこで新潟などの他の地域でも古民家を探しましたが、こだわったのは材料の質と力強さです。ケヤキのきれいな目などにはこだわりましたね。

解体前の上越の古民家

厳しい風雪に耐えてきた外観

巾60cmあまりの差鴨居

家を支えてきた巾50cmあまりの大黒柱

昔の職人の高い技術が各所に伺えます


■完成していかがでしたか。

- イメージ通りの家になりましたか。 -
自分が思い描いたとおりの雰囲気になり、心から満足しています。唯一、残念だったのが敷地の関係で思うように広さが取れなかったことです。こればっかりは仕方ありませんが・・・。
家の出来には大変満足しています。

- 住み心地はいかがですか。 -
一番心配していたのは木造の軸組工法で、しかも古材をふんだんに使う家なので寒さが心配でした。でも出来上がってみたら今住んでいるパネル工法の輸入住宅より暖かくてビックリしています。(床・壁・天井には断熱材を敷き込んでいますが、床と天井には2重で断熱材を入れています。)
とにかくこの家にいると落ち着きますし、冬も暖かくて快適で最高に満足しています。

■山共建設に施工を依頼された理由をお聞かせください。

古民家で家を建てようと思ってから設計は降幡設計さんにお願いしようと決めていました。山共建設は近くにあり、実績もあったので候補の一つでしたが、各所も色々の工務店の仕事も見てきました。他の工務店の仕事と山共の仕事と見比べたんですが、仕事がぜんぜん違いましたね。細部まできちんしてましたし、古い材木だからといっても雑なところがありませんでした。仕事の内容に妥協を感じませんでした。実績もさることながら仕事の質の高さを見てお願いしようと決めました。



■山共建設の仕事・職人・現場監督等はいかがでしたか。

とにかく、きっちりと仕事をしてもらいました。以前、住んでいた家は完成して1年位で床が沈んだりして不具合がありましてね。そんな心配はもちろんありませんでしたが。
とにかく山共の職人さんの技術はすごいと思います。
とくに年配の職人さんたちの仕事に対する意識の高さには驚かせられました。
こんなことがあったんです。石張りのお風呂にしたんですが、職人さんが石を張り終わってから「これでは山共の会長に見破られる」と言って、いきなり壊し始めたんです。
誰が見てもきれいに張れていて、差金を当てても狂いはないんですよ。
それなのに「会長に言われてから直すのは嫌だ」と言うんです。
私はこのままで充分だからと言ったんですが、結局壊してやり直しました。
これには、本当にビックリしました。

実は私は工事が始まってから仕事をリタイアしたんです。長年一生懸命に働いてきたし、もういいと思っていました。でも、年配の職人さんたちの働く姿を見て刺激を受けて、もう一度働こうと思ったんです。ちょうどその時に仕事の誘いがあって今も現役で働いています。やはり家にいるより働いていた方が楽しいですよ。生涯現役で頑張りたいと思っています。

現場監督の村山さんもしっかりやってくれましたし、お陰で楽しく工事を見守ることができました。
山共さんにはこれからも高い技術を守って仕事を続けていって欲しいと切に願っています。

いい建物ができるには職人の技術と施主様と施工側の信頼関係が不可欠です。
Tさんの仕事に対するご理解や思いが職人や施工側に伝わって気持ち良く仕事をさせていただき、
いい建物が出来上がりました。
信州安曇野で蘇った民家はTさんのお人柄を表すかのように、おおらかで落ち着きがあり、どっしりとした安心感のある家です。


※ 取材日時 2009年10月